2020年度理事長所信

公益社団法人射水青年会議所 理事長 米田 大樹

実践躬行 ~未知なる可能性を信じて~

はじめに

未来とは、ただ訪れてくるものではなく、こうなりたいという夢と、自らの決断によって生み出されるものです。
今、世界は「VUCA」の時代を迎えました。VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(不透明性)の頭文字をとった言葉で、予測不可能な現代の経済や社会状況を表現するキーワードです。VUCA時代においては、変化が激しく、昨日までの常識が通用しないため、過去の成功体験では次の一手が打てない、非連続の成長が求められています。いかなる時代背景にあろうとも、私たち青年が明るい射水の未来を想い描き、熱き情熱を胸に、目の前に立ちはだかる問題の本質に向き合い、最善を求めて創意工夫を重ね、臨機応変に行動する。そして、いかなる逆境をも乗り越えていける、そんなリーダーシップの発揮できるJAYCEEへと成長し、地域から真に必要とされる射水青年会議所の実現を目指して参ります。

15周年から未来に向けて

本年度、新生射水青年会議所(以下射水JC)は統合設立から15周年を迎えます。33年の歴史をもつ新湊青年会議所と10年の歴史をもつ射水青年会議所が、射水市の合併に先立ち統合設立し15年の月日が流れました。我々が今こうして青年会議所運動を行うことができるのは、先達がその運動を通じまちに大きな功績を残し支持されてきたからです。この節目となる一年を契機に、先達が培ってきた歴史を紐解き、その時代に即して成し遂げられてきた数々の運動をその想いとともに継承し、射水のJAYCEEが今まで以上に一丸となり、これまでの運動を更に推進していく好機としていかなければなりません。

「温故知新」を読み下すと「故 (ふる) きを温 (たず) ねて新しきを知る」となり「過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと」という意味になります。このことは射水JCにとってはもちろんのこと、射水に住み暮らす私たち市民においても必要なことなのではないでしょうか。自身の祖先がなぜこの土地に住まい、何を生業にしてきたのかを解明し、そこから自身の今を顧みて明るい未来を創造することで、故郷に対する郷土愛と、未来への希望が生まれる機会にしたいと考えています。

設立15周年を迎える本年は30年続いてきた平成の世が終わりを告げ、新たな時代の到来を期待した、希望に満ち溢れた年といえます。射水JCもこの記念すべき年に更なる一歩を踏み出し、まちの明るい未来の実現に向けて先達への感謝を胸に刻み、運動を展開していきます。

 

私たちの活動が世界を変える

2015年9月に国連サミットにて採択されたSDGsは、2030年までに誰一人取り残さない持続可能で、多様性と包摂性のある社会を実現するために、次世代への推進、達成に向けたプロジェクトなどを協働で進めることを宣言したものです。最近では、テレビや新聞でもよく目にするようになりましたが、その認知度はまだ決して高いとは言えません。しかし、世界共通の目標である17のゴールの達成は、まさに青年会議所が掲げる明るい豊かな社会の実現をわかりやすく言語化した目標ではないでしょうか。射水青年会議所においても積極的にSDGsの推進に取り組み、JC活動のみならず、社業においても家庭生活においても私たち一人ひとりが、SDGsに目を向け、できる取り組みから始めることで、周囲に伝播していく。地域の中での一つひとつの小さな取り組みが、大きなうねりとなり、やがては社会全体に広がりを見せることで、2030年のビジョンが実現できると考えます。私たちが住み暮らす地球は、今を生きる私たちだけのものではありません。未来を生きる子どもたちのためにも、まずは私たちが、この射水から率先して行動して参ります。

 

志を立てる

私たちは誰もが、今より良くなりたい、より豊かに生きていきたい。そう願っているはずです。しかし、ただ想うだけでは決して実現はできません。自分自身が強く想う理想の姿があるからこそ、それに向けて現在の行動を決定づけることができます。日常の無意識的な行動の積み重ねでは、その未来が明るいものなのか、暗いものなのかさえわからなくなります。だからこそ、私たちはこうありたいと理想の未来を思い描きビジョンを定め、意思決定していく必要があるのです。歴史は繰り返すという言葉もありますが、私たち人間は自然の摂理と同じように大きな原理原則の上に身を置いています。迫りくる大きな流れに抗うように、刹那的に自分の損か得かで物事を判断するのではなく、いかにあるべきかという志からくる決断を大切にし、いかなる逆境に直面しても光明を見出す。そんなリーダーシップの発揮できる人財へと成長して参ります。

 

故郷を護る

私たちが住み暮らす射水市は、海や山といった豊かな自然に恵まれ、水産物や農産物をはじめとする豊富な食文化、歴史ある伝統芸能や祭り、整備が行き届いた社会インフラなど、多くの魅力が存在する全国的にも恵まれた環境であると言えます。しかし、現実は東京一極集中と言われるように、若者の人口流出に歯止めがきかず、地域の少子高齢化は益々加速していくことは間違いありません。地方創生とは、決して行政だけに頼り実現していくものではありません。私たち市民が故郷の未来を想像し、危機感をもって問題を認識し、何か解決に向けた行動を起こすことでしか実現できません。射水青年会議所においても、単年度制という仕組みの中で、毎年様々な手法を用いて地域の問題解決に向けた事業に取り組んできました。しかし、我々が実施してきた事業はどの程度、市民に必要とされていたのでしょうか。私たちの取り組みは、どの程度市民から認知されていたのでしょうか。単なる賑わいや集客数という結果ではなく、地域や市民にとって本当に必要なコト、求められているコトだったのかということを今一度、考えていく必要があるのではないでしょうか。まちづくりは一朝一夕には成し得ません。しかし時間がかかるからこそ、少しずつでも積み重ねていくことが重要です。人々の価値観が多様化する現代社会において、インターネットが普及し、多くの人がSNSを使って様々な情報を拡散することが手軽にできるようになった今、志さえあれば個人でも様々な事業を企画立案し、実行することが容易になってきました。こんな現代だからこそ、改めて行政や各種団体、市民と協働し、理想の故郷のビジョンを共有した上で、青年会議所だからこそできる持続可能なまちづくりに挑戦して参ります。

 

子どもたちに生きる力を

第4次産業革命と言われる昨今、AIやIoTなどの技術革新は加速度的に進んでいくと言われています。今までは、読み書き算盤という知識や計算処理能力が重要視されてきましたが、これまで私たちが必死で記憶してきた答えのある問いに対しては、記憶を定着させずともインターネット上で問いかければ、一瞬で適切な回答を用意してくれる時代となりました。また、10~20年後には今存在している仕事の半数がなくなるとも言われ、同時に今の子どもたちの約65%が、今は存在していない仕事に就くとも言われています。そんな中、これからのAI時代を生きる子どもたちには、何が必要なのでしょうか。人生とは、答えのない問いかけの連続だと思います。であるならば、その答えのない問いかけに対して考えるという力が最も重要なのではないでしょうか。目まぐるしく変化し続ける状況に目を逸らすことなく向き合い、その場に応じて必要な知識や情報を集め、問題の解決に向けて行動するという未来を切り拓く能力を養うことが必要なのです。昨今、SNSやメディア等でも必要以上に、人の失態を取り上げている傾向があるように見受けられますが、子どもは多くの失敗と挑戦の繰り返しを通じて大きく成長していきます。強く逞しい人間力溢れる子どもたちを育成して参ります。

 

100名LOMを目指して

会員数の減少は、全国的に見ても大きな問題の一つとなっています。2005年に統合した射水青年会議所も設立当初は110名を超える大きなLOMでしたが、ここ数年は60名前後を推移しています。これから先も更なる人口減少・少子高齢化の加速による、全体のパイの減少という大きな流れは確かに存在し、避けることはできません。しかし、本当に私たちは会員の減少を黙って受け入れるしかないのでしょうか。例えば、今まで私たちが無意識に抱いていたフィルターを外し、幅広く市民へ声がけを行い、青年会議所の魅力を熱く伝える場があったならば、今までとは違う切り口での会員拡大も可能となるのではないでしょうか。青年会議所とは、地域が抱える問題を抽出し、その解決に向けて行動する団体です。この運動を拡大していく上で最も重要なことは、その想いに共感し、参画してくれる同志を見つけることに他なりません。社会に小さな変化を起こすメンバーが多ければ多いほど、青年会議所が地域に与えるインパクトは大きなものになります。JCという組織は、40歳で卒業を迎えますが、限りある時間だからこそ自分の持てる最大限の情熱を注ぐことができます。それだけ多くの情熱を注ぐからこそ、大きな学びを得ることができます。そして、その大きな学びを地域や社業にも還元できるようになるのです。たとえ卒業を迎えたからといって、地域課題に対してのアプローチができなくなるわけではありません。であるならば、長期的な視点でJCという組織に誇りと愛着を持ったメンバーを、この射水に数多く輩出していくことも我々の大切な役割ではないでしょうか。まさに、青年会議所における会員の拡大は、JC運動そのものだと考えます。そのためにも、青年会議所が持つ魅力と意義を改めて会員間で共有し、15周年を機に策定した100名LOMビジョンの達成に向けて、本気の会員拡大に戦略的に取り組んで参ります。

 

スイッチを入れる

青年会議所に入会し積極的にJC活動に参画しはじめることをスイッチが入る。と比喩することがあります。青年会議所には、様々な経験と学びの機会があります。しかし、JC活動への参画なしには、得られるものは決して多くはありません。入会後すぐにスイッチが入るメンバーもいれば、数年間の充電期間を経てスイッチが入るメンバーもおり、人それぞれタイミングは異なります。では、そのスイッチとはどこにあるのでしょうか。自分自身を振り返ってみると、それは新入会員時代の青少年育成事業で子どもたちと深くかかわるサブリーダーの役割を全うしたときだったと思います。与えられた役割を仲間と共に考え実践し、失敗しながらでもやり切る。やり切ることで責任感が芽生え、次なる意欲へとつながる。今でもその達成感は自分の大きなモチベーションになっています。また青年会議所には多くの仲間や先輩がいます。世のため、人のためにと懸命に汗をかく姿に心を打たれることも多いでしょう。様々な想いを胸に入会した新入会員には、早いうちからLOM内外を問わず多くの機会に触れ、役割を経験し、仲間と共に達成する喜びを味わってもらいたいものです。そのためにも、新入会員間のみならず既存会員との関係性の構築はもちろんのこと、家族の理解と支えがJC活動には不可欠です。周囲で支えてくれる方々、助け合える仲間への感謝の心が、志高きJAYCEEへの育成につながります。机上の学びだけではなく多くの実践を通じて、青年会議所の次代を担い地域を牽引するリーダーを早期に育成して参ります。

 

青年会議所の価値を高める

市民の意識を変革するという本質を追求していく上で、市民参画や市民からの認知は大変重要なポイントです。射水青年会議所では、これまで多くの素晴らしい事業を展開してきました。しかし、様々な情報が溢れる現代社会において、私たちの広報活動はどの程度、市民の目に届いているのでしょうか。どんなに素晴らしい事業を企画立案しようとも、その目的や内容に注意が向かなければ、その効果は小さなものになってしまいます。近年では、広報活動の中にもSNSをはじめとする新たな手法も取り入れ、市民の手元に情報が届くという点においては、一定の成果は残っていますが、まだまだ認知という点では十分とは言えません。しっかりとコンセプトとターゲットを明確にした上でコンテンツを充実させ、情報を届けることによって安心して市民が参画できるような広報戦略を構築し、実践することで射水青年会議所のブランディングを推進して参ります。また、各事業におけるSDGsとの関係性も積極的に対外に発信して参ります。青年会議所が開催する事業への市民参画が、確実に社会全体への貢献につながるということを、しっかりと理解してもらうことで射水青年会議所の存在価値をさらに高めて参ります。

 

健全な組織運営を

射水青年会議所では、会議または総会の場で重要な意思決定を行います。諸会議には多くの会員が、その貴重な時間を用いて参画します。であるならば、会議に要する時間は有限であるべきであり、皆にとって価値ある時間である必要があります。そのためには参画側の姿勢も重要ですが、それ以上に運営側の責任は大きく、諸会議が円滑に活発に進行されるように努めなければなりません。事前に十分な準備とチェックを行い、期日を厳守した議案の発送はもちろんのこと、ITツール等の導入も新たに検討しながら、限りある時間の中で最大限の効果を生み出す会議運営に努めます。また、運営幹事会を組織し、次世代を担う若いメンバーの育成にも注力し、組織運営の基礎を伝えていきます。青年会議所は予算のほとんどを会員の年会費から賄っていますので、地域に必要な事業であれば前例のない大胆なチャレンジも実現することが可能です。しかし、その予算の執行に関しては慎重に財政審査会にて吟味し、会員の信頼に応えられる予算管理を行う必要があります。さらに公益法人の移行から7年目を迎える本年は、今一度その必要性についても検証を行い、確信をもって公益法人としての歩みを進めて参ります。また射水青年会議所は、国際理解を深め世界の繁栄と平和に寄与することを目的とした団体でもあり、古くから台湾中正國際青年商會、韓国西仁川青年会議所、シンガポールオーキッド青年会議所という3つの青年会議所と姉妹提携を結んでいます。毎年の交流を通じて、互いの友情や信頼関係は年を追うごとにますます強固なものになっていると感じますし、いかなる時代背景にあっても失われるものではありません。これからも先達から連綿と受け継がれてきたこの伝統をしっかりと次代に引き継ぎ、一人ひとりがこの国境を越えた友情の輪を拡げていくことで恒久的な世界平和を実現して参ります。

 

万が一への備え

昨今、日本全土で地震や記録的な豪雨といった自然災害が猛威を振るっています。私たちが住み暮らす富山県においては比較的大きな災害は少なく、市民自身の危機感も希薄であると言わざるを得ませんが、いつ何時大きな災害に見舞われてもおかしくはありません。だからこそ、近年の災害を振り返り、想定される限りにおいては備えておくことは非常に大切です。また、もしもの際に私たちがどう行動するかを事前に明確にしておくことで、その初動が迅速なものとなります。2019年5月には、射水市と射水市社会福祉協議会、射水青年会議所の3者間での災害時における協力に関する協定も締結しました。今後も青年会議所のネットワークを活かし、必要に応じて他の地域とも連携しながら、有事に備えて参ります。

 

終わりに

英知と勇気と情熱を胸に、如何なるときも青年らしく、我が郷土の限りない発展と、明るい豊かな社会を築くために率先して行動することを誓い、射水青年会議所は統合、設立されました。昨年、15周年という大きな節目を迎えた私たちは、今後も先達の功績に敬意と感謝をもって、明るい豊かな射水の実現に向けて歩みを続けていかなければなりません。私は、射水青年会議所が今後も地域から、住み暮らす市民から必要とされ、愛され続ける組織であり続けてほしいと願っています。そのためには、射水青年会議所という組織は時代の変化に合わせて、絶え間なく成長を続ける必要があります。組織の成長とは、そこに集う人の成長に他なりません。会員一人ひとりが限られた時間の中で精一杯の情熱を注ぎ、成長を続けるからこそ、青年会議所という組織は、連綿と後世に受け継がれていくのです。
未知なる領域に変化を恐れず足を踏み入れ、新しいことを成し遂げられるのは、自分の可能性を信じることができる人です。現在の自分の能力から「できる・できない」と判断してしまっては、新たな取り組みや、これから迫りくる問題を前に太刀打ちできません。可能性とは今は目に見えていない潜在的な能力であり、自分の伸びしろなのです。自分が想像できることは必ず実現可能です。理想のありたい姿という志を立て、どんなことをしてでもやり遂げるという想いで、まずは挑戦する勇気を持ちたいものです。
射水青年会議所には、他人の喜びを自分の喜びとして苦楽を共にし、汗をかき、支えてくれる仲間がいます。溢れんばかりの愛情をもって叱咤激励し、多くのことを教えてくださる先輩諸兄がいます。JC活動への理解と応援をし、送り出してくれる家族や社員がいます。私たちの運動や活動を理解し、温かな姿勢で受け入れてくださる地域の方々がいます。一度しかない人生、そして青年期という限りある時間だからこそ、これら全ての人々への感謝を胸に、未知なる可能性を信じて実践躬行して参ります。明るい豊かな射水の限りない発展に向けて。

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