理事長所信

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理事長
第21代 理事長

藤川 護

MAMORU FUJIKAWA

切磋琢磨~行動こそが真実~

「はじめに」

 現在の私たちは、先輩諸兄が築いてきた歴史の上に立っています。新湊青年会議所と射水青年会議所が統合されて昨年で20周年を迎え、 今年は新たなです。世間を見渡すと、 高齢化が進み、 出生率が低下し、 人口が年々減少しています。また、 ガスや電気などの光熱費が軒並み高騰しているだけでなく、 円安が続き、 かつて世界第2位のGDPを誇っていた日本の経済状況も、 今や先行きが不透明な時代となっています。さらに、 働き方改革が進み、 地域教育が本格的に始まる年でもあり、 課題が山積していると言えます。だからこそ、 この時代に合った解決方法を模索し、 先輩諸兄から継承してきたまちへの思いを胸に、 英知と勇気と情熱をもって率先して行動することを誓います。そして、 同志と共に知恵を出し合い、 手を取り合いながら、 将来の日本と地域の未来を見据えて行動する必要があるのです。

「射水の魅力を最大限に発信しよう」 / 魅力につながる

 2021年、 射水の地で地区フォーラムを開催しようと決意してから、早いもので4年 2の月日が経ちました。 6月には、 射水の魅力を発信し、 北陸信越地区のメンバーだけでなく多くの市民にも知っていただく機会として、 第67回地区フォーラムin射水が開催されます。これは、 射水青年会議所にとって初めてのことであり、 毎年北陸信越地区の5県で持ち回り開催される大会でもあり、大変名誉なことです。地区フォーラムに求められる、社会益、地域益、参加者益、主催者益の4益をより良いものにしていけるように活動してまいります。 その中でも、 主催者益として昨年の創立20周年を機に 「つながるまち射水」と題した10年ビジョンを策定しましたが、このビジョンに則り、 1つでも多くの 29 LOMやメンバーとつながり、 射水の魅力を分かち合う機会にしたいと考えています。また、地域益においては北陸信越地区のメンバーが射水の地を訪れることで自然豊かな景観や海の幸を楽しんでいただくだけでなく、 そこで活動する射水のメンバーや地域住民と共に取り組んでいる青年会議所活動もお伝えしていくことでより強固なつながりを構築する機会と言えます。 さらに社会益では射水だけでなく、 富山県にお越しいただけることを県内の青年会議所の皆さんと共にフォローすることで経済貢献にもつながると考えます。

「地域の未来を見据え今からできる課題解決」 / 未来へつながる

 私たち青年会議所は、地域の課題を発掘し、その解決を通じて市民の意識を変革する活動を行うだけでなく、所属メンバーにリーダーシップの開発や成長の機会を提供する団体です。もし、まだ顕在化していない潜在的な地域課題に気付いたとき、皆さんならどうしますか?『誰かがやってくれるだろう』『自分たちには関係のないことだ』と思うのではなく、自分たちだからこそできる方法で、自分のまちを守るという当事者意識を持ち、主体的にその課題解決に向けてチャレンジしましょう。私たちが目指す『明るい豊かな社会の実現』には、メンバー同士の協力はもちろん、行政や地域を支える諸団体との協働を始め、時代に合った共創社会に向けての動きが必要です。予測される地域の未来を見据え、理想と現状のギャップを埋める解決策を通じて、地域へ形に残る結果を残したいと考えています。具体的には、現役メンバーだけでなく先輩方の力を借りて、PTA活動を支援する一般社団法人を立ち上げ、私たちがその運営をサポートしていきます。地域教育で浮き彫りになる子どもたちの教育格差が広がらないように我々が行える活動にも注力していきます。それらの活動を通し、市民意識改革運動を始め明るい豊かな社会を目指し、市民と地域をつなぐ架け橋となるよう活動していきます。

「若者の郷土愛の醸成」 / 人と人がつながる

 小学校や中学校までは義務教育であり、進学する学校も学区内でほぼ決まっています。しかし、高校になると、自分のやりたいことが明確になってくる学生も多く、地元の高校ではなく、県内外を問わず進学することが増えています。一昔前は、地域で子どもたちを育て、地縁者とのつながりが子どもたちの郷土愛を育んでいたと思いますが、最近は地域の大人とのつながりや接点を持つ機会が希薄になっているように感じます。だからこそ、子どもたちが各々に持つ郷土愛を地域へ還元し、いつまでも住み暮らしたい、もしくは外に出ても戻りたい故郷だと思えるような関係性を築くことが大切だと考えます。今後、ますます少子高齢化が進み、首都圏へ若者が一方的に流出することが懸念されますが、地域企業でも自分のやりたいことが実現できる、こんな魅力的な人たちと共に働きたい、と思える環境が必要であり、私たち青年会議所のメンバーが地域のリーダーとして高校生と共に未来を語り、郷土愛を深める機会を設けることが重要だと感じています。地域を知り、地域で活躍する人々を知り、企業を知ることで、子どもたちが将来の選択肢として地元での活躍を考えるようになる。そのような若者を育成することが必要です。もちろん、首都圏などに進学することも大切な選択肢の一つです。学び、経験を積み、見聞を広げた上で、Uターン就職などで戻りたい故郷をつくっておくことが、私たちの役目だと考え、そのためには、子どもたちが考えたことを実践させ成功体験を積ませてあげることも重要だと考えます。さらに、2024年1月に発災した令和6年能登半島地震は、私たちが住む射水市にも大きな被害をもたらしました。こうした有事の際には、青年会議所が率先して行動するだけでなく、地域の方々や他団体、行政との連携を強化することが重要です。日頃から情報交換を行い、お互いのリソースを確認し合いながら、協働社会を共に築いていけるパートナーとしての関係を深めていく必要があります。また、まちづくりを進める中で、広報活動も重要です。青年会議所は年間で実施する例会やほとんどの事業日程が決まっています。それらの計画に則り、年間で発信する広報計画を綿密に構築し、役割分担を決め、継続的かつ緻密な広報活動を行います。事業の告知にとどまらず、事業報告を通じて私たちの活動そのものを市民の方に認知していただき興味関心を引くだけでなく、青年会議所活動に参加する機会へとつなげていきます。

「思いやり溢れる子どもたちを共育する」 / 想いがつながる

 この先、AIやICTが普及し、ますます世の中が便利になる中で、自分の思いを相手に伝えることの難しさを感じることはありませんか。今では小学生までもがスマートフォンを持つ時代になりましたが、私たちが幼少期のころは携帯電話の普及も乏しく、友人や知人に気持ちを伝えるときは手紙をしたためたりしていました。異性に電話をかける際も自宅の固定電話しかなく、本人が出ることを願いながら電話をかけたものです。しかし、今では誰もがスマートフォンを持ち、いつでもどこでも連絡が取れるようになり、アプリを通じたコミュニケーションが日常的なものになっています。また、 ゲーム機などもオンラインで実施できるものが増えとても便利になっています。その結果、相手のことを深く考えず、反射的に返信をしてしまったり、相手が何を考えているかもわからず物事をすすめてしまうことも少なくありません。このような状況が続くと、相手を思いやり、心からの思いを伝えることが苦手な子どもが育つのではないかと懸念しています。AIやICTが普及しても、『心』 の大切さは変わりません。技術の進歩や道具をうまく活用しながら、親や友人、仲間や大切な人を思いやる心を持つ大人に成長するだけでなく、私たち大人もその過程で共に成長していかなければなりません。『子は親の背中を見て育つ』と言われるように、私たち大人も歴史から人としての理を学び、 親子で共に分かち合う機会が必要だと感じます。道徳の時間でも、人によって答えが異なるように、子どもたちが本来持つ物事への興味や関心は様々です。子どもたちのやりたいことを引き出し、なりたい姿を明確にし、その目標に向けて探求心を高め、自分自身で答えを導き出せるような子どもたちが、今後の射水の未来を担ってくれると信じています。思いやり溢れる子どもたちを育むために、射水青年会議所が合併してから20年にわたり継続して実施している青少年健全育成事業が重要だと考えます。今年度は、自己有用感を高めるために、思いやりの心と日常では体験できないことやAIや機械では計り知れない子どもたちの可能性と創造力を高める活動を通じて、子どもたちの心に道徳観や公共心を育む活動を行っていきます。また、「わんぱく相撲」の開催では、地域の子どもたちにぶつかり稽古などの心身を鍛える機会を提供するとともに、試合を通して礼儀作法や親、対戦相手、さらには青年会議所メンバーや関係者にも尊敬の念を持って取り組みを行える子どもたちを育めればと思っています。機会でもあります。今までは、各小学校の団体戦まで実施しており、多様性を重んじることも増え参加者が減少傾向でしたがわんぱく相撲に加えて「ちびっこ相撲」の開催に伴い参加者は徐々に増えています。 私たちは、子どもたちに様々な形で相手のことを思いやれる機会を提供していきます。

「人間力を高めリーダーシップを発揮しよう」 / 笑顔がつながる

 射水青年会議所は、地域社会および地域経済の発展とメンバーの指導力の開発に努めるとともに、国際青年会議所の機構を通じて国際理解を深め、世界の繁栄と平和に寄与することを目的としています。この一節は、射水青年会議所定款第3条に記載されている『我々の目的』です。私たちが日々行っている運動や活動は、この目的を達成するためのものです。その中でも特に重要なのは、メンバーの指導力の開発に努めることだと考えます。人は一日に35,000回の決断をしていると言われており、 その決断の積み重ねが今の自分を形作っています。青年会議所に入会したきっかけは人それぞれ異なるかと思いますが、誰もが『今よりも成長したい』『人脈を広げたい』などという強い思いを持って入会したのではないでしょうか。「その時に抱いた思いを行動に移し、青年会議所の活動に積極的に参画できていますか?」よく言われることですが、青年会議所もスポーツクラブも同じで、入会しただけでは結果は得られません。自分の理想や在るべき姿を明確にし、組織や仲間に愛情を持って接し、情熱的に行動することが大切です。そして、目指すべきゴールから逆算し、決断力を高め、自分の中に確固たる信念を確立してほしいと思います。仮に目指すべき目標がない場合でも、目の前のことに本気で取り組み、今を真剣に生きることで次なる目標が見えてくるとも言えます。また、人は一人で生きていくことはできません。必ず誰かの助けが必要であり、組織やチームで活動することばかりです。だか らこそ、人間力を高め、周りの仲間から頼られ、信頼されるリーダーシップを発揮できる人財へと成長していかなければなりません。できなかったことができるようになることで、自身の成長を実感し、できることが増えることで周りから評価されたり、頼られたりすることで自然と笑顔につながるといえます。年間を通じて割り当てられる各事業を通して、これらの要素を学び、社業にも生かせるような成長を遂げてほしいと願っています。さらに、メンバーに向けた広報活動を実践することで、各々のメンバー間の事業に対する認知を広げ、良好な関係性を構築するきっかけとしても活用してもらいたいと考えます。

「青年会議所の理念を再認識し、長きにわたって能動的に活躍できるメンバーの拡大 を」 / 人と人とがつながる

 現在の射水青年会議所では、入会3年以下のメンバーが全体の約50%を占めています。また、入会後に青年会議所活動の意義や目的を見いだせず、卒業を迎える前にこの会を去るメンバーも少なくありません。理由は明確であり、それらの課題に向き合わずに来た結果だと言えます。まず、青年会議所に入会する際の動機や、入会後に何を達成したいのかに対する意識が十分でないことが一因です。私自身も入会した最初の1年は、活動に対するモチベーションが上がらず、「なぜやるのか」「誰のためにやるのか」と問いかけられても、自分とは無関係だと感じていました。しかし、そんな私に対しても先輩たちは惜しみない愛情で接してくれ、その中で活動を共にするうちに、次第に理念を理解していくことができました。 だからこそ、入会して間もないうちに青年会議所の理念に触れ、仲間と共に活動する素晴らしさを実感することで、自らが新たな同志をこの会に招き入れる能動的なメンバー拡大につながることを願っています。また、青年会議所は20歳から40歳までの品格ある青年が集う団体です。活動できる時間には限りがあるため、入会して満足するのではなく、長きにわたってこの会で活動し、多くの学びを得て地域社会で活躍できるような人財に成長してほしいと考えます。さらに、私たちがこの活動に時間を充てることができるのは、家族や会社の仲間のおかげでもあります。しかし、最も身近な存在である家族や仲間に、私たちの活動を十分に伝えられていないメンバーも少なくありません。事業を通じて私たちの人となりを知ってもらうだけでなく、交流の機会を創出することも重要だと考えています。

「恒久的世界平和に向けて」 / 未来へつながる

 青年会議所は世界的な組織であり、105カ国においてメンバー数は15万人を超え、世界のリーダーを輩出する団体でもあります。もちろん、私たち射水青年会議所も国際青年会議所の一員です。現在、 台湾の中正國際青年商會、韓国の西仁川青年会議所、シンガポールのオーキッド青年会議所と姉妹関係を結んでおり、言語や文化が異なる中でも、多くのことを学び、国境や言語を超えた真の友情と絆を育んできました。しかし、40歳までという限られた活動期間の中で、メンバーが毎年入れ替わるため、年々この国際交流に対する情熱や思いが現メンバーに十分に伝わっていないと感じます。また、2020年からの約3年間にわたり世界的に流行した感染症の影響で、相互訪問が難しくなったことも、この交流が希薄化している原因の一つです。だからこそ、この国際交流を続ける意義や意味を既存のメンバーと共有し、恒久的な世界平和を目指して、さらに強い絆を築いていくことが必要だと感じています。具体的には、お互いを深く理解し、共に活動できる事業を通じて、友情を一層深めたいと考えます。今後の日本は、海外から人々を招き入れ、定住してもらい、異なる価値観を認め合いながら共に暮らしていく時代に向かっています。だからこそ、私たちが国際感覚を磨き、率先して国際交流の機会を地域社会に還元していきましょう。

「時代に合わせた真心溢れる会議運営と成長の機会の提供」 / 想いがつながる

 射水青年会議所は年間で3回の総会を開催しており、そこでの決議が最高意思決定機関となります。我々は、目指すべき理想と現状のギャップを課題として捉え、その課題解決を手段としてリーダーシップを発揮するだけでなく、やるべきことを正しく実行することが求められています。それらに加えて、総会が開催される意義や目的を自ら考えるとともに、在籍期間の短いメンバーにもその重要性を伝えていく必要があります。事業への参加の呼びかけにおいても相手の心が動くような参加動員を念頭に置き、参加者に合わせた呼びかけを行っていきます。便利なツールを使って作業的に実施するのではなく、事業担当者の思いを汲み取り、各事業に参加することで学び得られることなども重ねて伝えていくようにします。年間で割り当てられた事業を開催していくことだけでなく、参加していただくメンバーに対する真心、事業に参加する子どもたちやパートナーとして共に活動していく諸団体への真心を大切にすることで心温まる組織へと変革を遂げることを目指します。また、青年会議所には、年間で3回の県外ミッションがあります。1月に京都会議、7月にサマーコンファレンス、10月には全国大会が行われます。それぞれの事業には明確な目的があり、メンバーに対してその目的を発信し、成長の機会を提供するための情報提供が必要です。ただ出欠の確認をするだけでなく、それぞれの会議に参加する目的を明確にし、一人でも多くのメンバーを動員できるように尽力してほしいです。また、従来の会議の進め方を見直し、時代に合った会議フォーマットを作成するなどして、さまざまなツールを活用することも重要です。会議前に必ず事前に意見を出す習慣をつけることで、参加者全員の貴重な時間を有意義に使うことができます。忙しい日常の中で青年会議活動のための時間を確保したり、県外ミッションにて出張に行くことをマイナスと捉えるのではなく、「現場やお客様に支障を与えず、将来の課題に充てる動き方を工夫する」機会と考え実行する力も養って欲しいと思っています。形式にとらわれず、内容と心のあるICT化を取り入れるチャンスにしてほしいと考えます。さらにメンバーの皆さんから預かった会費は会の活動費に充当させていただきますので、財政審査会議を開き、財政管理を徹底して行うだけでなく、法人格の移行に伴う対応も慎重に行っていきます。

「結びに」

 切磋琢磨とは、学問や人徳をより一層磨き上げることです。また、同志が互いに励まし合い、競争することで共に向上するという意味も含まれています。人は他者によってしか磨かれませんし、各々が持つ「心」を磨くことが最も重要だと考えます。頭で考えるだけでなく、行動を起こし続け、仲間との時間を本当に大切にしてほしいと思います。青年会議所活動ができるのは、私たちを支えてくれる家族や会社の仲間がいるおかげです。だからこそ、1分1秒を大切にし、すべてのことに励んでほしいのです。もう一度考えてみてください。皆さんはなぜ青年会議所に入会したのでしょうか。それは今よりも成長したいという漠然とした思いがあったからではないでしょうか。この「大人の学び舎」と称される青年会議所での修練を活かし、皆さんの人生をより豊かなものにしてほしいと思います。 組織はリーダーの器以上には大きくなりません。我々が働き、住み暮らす射水市を明るく豊かにするためには、私たち一人ひとりが自らを磨き、今以上に成長させることが答えです。社会の最小単位は家族であり、 家族を笑顔にすること、 会社のリーダーとして社員やその家族を幸せにすること、地域のリーダーとして共に成長し、自分の人生をアップグレードさせましょう。